スタジオ・ジブリのプロデューサーがセクシズム的発言で話題。どこが問題か?
英紙Guardianとのインタビューでの問題発言が拡散中とのことです。
“英紙ガーディアンは、スタジオジブリのアニメ映画「思い出のマーニー」の米林宏昌監督、西村義明プロデューサーのインタビュー記事を6日に公開したが、この中での西村氏の発言が性差別的だと海外で物議を呼んでいる。
西村氏は記事の中でガーディアンの記者からの「いままでジブリでは女性監督を採用したことはありますか?」との質問に対し「どんな映画かにもよります。実写と違い、アニメーションでは現実世界を簡略化する必要があります。女性はより現実主義的で、日常生活をうまく管理する傾向があります。一方、男性はもっと理想主義的ですね。ファンタジー映画は、理想主義的なアプローチが必要なんです。だから男性監督が選ばれてきたのは偶然だとは思えません」と答えた。”
大手メディアの中でもポリティカル・コレクトネスに関する問題意識の強い我らがGuardianとのインタビューで、こういう発言するとは。日本のメディアなら読者層が違うので問題になってないと思うが(苦笑)
まあでも、言っていることは間違ってないんじゃない?とピンときていない人のために説明したい。どこが問題?どこがセクシズムなのか?
- ジブリのアニメ作品の監督になるには、必要不可欠な能力や素質がある。誰でもなれるわけではない。例えば「現実離れしたファンタジーを描ける」というものがあるとする。
- 「ジブリとしては、この素質を持つ人でないと監督として起用することはない」こう言えば問題になることはない。
- でも、「ファンタジーを描く」という素質は男性が(しばしば)持っているので、女性がジブリの監督に起用されることはない。と言うと、これは性別を根拠に起用が決められており、性差別(セクシズム)である。*1
- 重要なのは、たとえ厳密で信頼に足る統計データにおいて、女性の大半はファンタジーを描くことが不得手という傾向が示されたとしても、性別を根拠に昇進・雇用が決められればセクシズムである。その人の性別ではなく、能力や素質を根拠に、判断されなければ「不平等」である。
- 言わずもがな、これはその他の属性(人種・国籍・宗教・セクシュアリティ・・・)でも同様である。
日本ではセクシズムとか日常茶飯事ですが、少しずつでもなくなっていくと良いですね。
参考URL:www.theguardian.com
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*1:インタビューでも男性が監督に起用されてきたのは偶然ではないと答えている!